患者とのコミュニケーション力で、診察が劇的にスムーズになる

患者とのコミュニケーション力が臨床医に必要な理由

ノート
医療の現場では、患者の病状とその対処だけに注目しがちです。「人」を見ずに「病状」だけに意識が集中してしまうのです。もちろん本気で患者に向き合っているので、その傾向があることはよくあることでしょう。しかし、医療を受けるのは「人」なのです。人は感情があるのです。ざっくり表現すると、人の感情にしっかり向き合っていないことも多いのではないでしょうか。医療に限ったことではなく、
専門職の世界ではよくありがちなケースです。

コミュニケーションはスキルなので学んで習得するもの

コミュニケーションスキルは、医師は学んで身に付けることが必須です。患者は、、物体ではなく、人なのです。最新医療や最適と思う提案も、相手が受け入れなければ、結果はでません。

様々な患者さんの病状と、治癒のケースをみていくと、
患者の意識が、前向きで明るいと、治ったり軽減するケースはよく耳にすることの一つでしょう。

逆に、ネガティブな心の状態に陥ってしまい、病気そのものよりも、
患者の心が、病状を悪化させていると感じることもあるでしょう。

患者の意識状態をどのように導くのかも、医療の現場では非常に重要なことなのです。
前向きな気持ちに導くためには、よりよいコミュニケーションが必須です。

患者との円滑なコミュニケーションは、聴くことから始まります。

聴くとは、相手の話を一切否定せず、最後まで遮らず、アドバイスもせず、
相手の話すことに耳を傾けることです。

10分あったら、会話はキャッチボールのような状態です。
相手が5分、自分が5分話せれば、バランスの良い会話ができたといえますね。

「聴く」とは違います。

聴くこととは、10分あったなら、そのほとんどを相手が気持ちよく話せる状態を作れる人です。

コミュニケーションが役立つのは、人は感情があり、その感情をどのように伝えることで、相手が受け入れやすいかという視点になります。

がんの診断を説明するときや再発などのケース、転移や余命などの受け入れにくい話を、どのような話し方で患者に伝えればいいのでしょうか。

ロールプレイングで、患者役と医師役になり、お互いによくあるケースを想定し、実際の診察時と同様に話すことをやってみると思わぬ自分自身の癖が見つかるでしょう。

第三者役や講師からの評価や、グループやペアになり、ディスカッション形式で、話し合うとコミュニケーション能力が格段に高まります。

患者とのラポール形成(信頼構築・場づくり)、「聴く」(傾聴)、質問の仕方、共感することなど診療で日々必要なコミュニケーションスキルを事前に繰り返し身に付ける研修や訓練を行っておくことが重要です。

 

コミュニケーションのスキルは、一度の研修で身につくことは少なく、繰り返し研修に参加し、新しいスキルを学び、現場で実践し、継続して学びと実践を繰り返すことで、すこしずつどんなケースの患者でも、相手の性格にも合わせた応対方法ができるようになります。苦手だなと思うタイプの患者も格段に減っていくでしょう。

さまざまな病気の患者にも、コミュニケーションスキルが高いとスムーズに対話が進むようになります。患者さんの病状やメンタルの状態、もともとの性質、学んでおくとそれぞれに、うまくコミュニケーションをとることができるのです。

EBM(根拠に基づく医療)とNBM(対話に基づく医療)

現実化

近頃の医療の現場では、検査やデータなど根拠に基づく医療(EBM)が重視されているケースが一般的でしょう。しかし、対話に基づく医療(NBM)もとても重要なのです。この考え方があると、患者へのよい医療とはなにかという視点に立つことができるようになりますね。

患者は一人の人間です。状況や生きてきた経験、人生への価値観も自分のそれとは違うのです。その患者さんにとって一番よい医療を考える姿勢も必要なことでしょう。医療の現場では、当たり前の治療法もその人にとっては良いとも限らないこともあるかもしれません。

そこで相手の気持ちや考え方を対話により、理解しようと努めることで、お互いに信頼関係が芽生えることでしょう。
信頼が前提にあれば、心を開いてより最善の方法を探ることもできるようになることでしょう。

家族も不安です。苦しんでいるのは、患者と同様なのです。対応するときは、患者同様に心が揺れていることを考慮し、言葉や会話にも配慮することが求められます。

患者の不安を取り除き、前向きな意識に導く

現実が変わる~セルフイメージとパソコン

安心できれば、患者は話をする

コミュニケーション能力が高い人は、決してペラペラと流暢に説明し、説得できる人ではないのです。
言葉以外の「非言語コミュニケーション」をよく使えている人とも言えるのです。

表情や態度、目線やボディジェスチャーなどの情報を相手は読み取っているのです。

視覚・聴覚の情報もコミュニケーションの一つです。患者は、医者のすべてを観察しています。医者のちょっとした目つき、言い方、場の空気感を読み取り、医者の言葉よりも優先して理解しているのです。

外見55%
声 38%

と言語の情報よりも、
外見や声のトーンなどの情報を優先させて、意味合いを理解する傾向があるのです。
第一印象の法則があります。

 

患者の心を開き、安心する印象の良い医者になることは、今すぐ取りかかれるスキルですね。医者の好印象により、患者はほっとする場を提供することができるのです。

日本の医療機関の診察室は、患者にとっては、落ち着かない空間と感じられているのです。診察室の奥で看護師がバタバタと動いていたり、声が聞こえてきたり、プライバシーが筒抜け状態の環境もよくありますね。

「診察室に入ると、医師がひじ掛けのあるような立派な椅子で、患者はクルクル回る丸椅子であることも、医療の現場では疑問にも思っていないのです。一般的な企業やお店で考えてみると、お金を払って利用するお客様=患者が、粗末な椅子に座っているという、ちょっと考えればおかしいなということにも気づかないものなのです。

いつもの光景やその業界だと当たり前になっていたり、慣習になっていることも、
よくよく考えてみることをお勧めします。

初対面で好印象になる7つの方法!一瞬で相手の心はつかめる!

アドバイスや指導するという意識を捨てることから始まる

患者の立場で、不安になったり医師に不信感を持つのは、
医師の印象が悪いということが挙げられます。

好印象な人だと感じると、心を開き、話を前向きに聴こうとするものなのです。
一般的なお店や企業では、当たり前の「人の印象」を、もう一度確認してみる必要があります。

医療の現場では、命がかかわることも少なくはなく、
患者の立場だと、恐怖や不安を抱えていえる状態から、医師との対話が始まるのです。

その心理を理解し、
患者を前にした瞬間から、笑顔で相手を安心させることが必須でしょう。

笑顔を含めた好印象のスキルとは、
「技術」なのです。

訓練を繰り返し、身に付け、やっと
現場で自然に使えるようになるものです。

普段、患者への印象を気にしていない医師や医療従事者は、
自分自身の表情を客観的に確認してみましょう。

居心地が悪い、怖い、と感じる言動や表情を、まず訓練し、「安心できる人だ」「この人の話なら信頼できる」と思われることが重要なポイントです。

身だしなみも相手を安心させる、信頼を得るためには日々気をつけたいもの。

白衣が汚れている、アイロンがかかっていない、髪形が整っていないなど、
清潔感を保つことも印象の大事な要素です。

 

身だしなみや清潔感は、どこの世界でも基本ですね。

その他にも、たとえば外来の患者さんの対応をしているときに、携帯電話に出たり、壁の時計に目をやったりすることも、悪い印象を与えてしまいます。

 

やむを得ず、緊急の電話に出るときときには、一言事前に患者に許可を取ることも必要です。

「今、急ぎの電話なので、少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか」ととひとこあるかないかで、印象はがらりと変わるのです。社内の職員同士の内輪の会話になると、話し方や雰囲気がガラリと変わるのはよくありません。

電話口で、スタッフだからと言い方が偉そうな感じなることも患者に悪印象を持たれてしまいます。

忙しいときほどこそ、目線や態度に気をつけましょう。

 

早く診察を終わらせて次の患者にしないとと思うとつい、
時計をチラリと一瞥したりしていませんか?

カルテやパソコンの画面に視線を向けたりして、
患者に全身で集中して話を聴かなくなるものです。

目の前にいる人に100%敬意を持ち、
「全身で話を聴いています」というものが傾聴で大事なポイントです。

 

患者の良くある話を、時間がかかるから無駄だと感じることも多いかもしれません。医師や医療従事者にとっては、専門家なので、患者の言うことや話すことの半分も聞かないうちに、

ほぼ結論やどうすればいいのか、わかっているものなのです。

そんなときに、途中で相手の話を遮る、最後まで聞いていないうちに、
診断結果や薬のことなど、話してアドバイスなどを始めてしまっていませんか?

人は、自分の話を真摯に聴いてくれる人に心を開き、信頼を寄せるものなのです。

心にゆとりが必要です。
相手の話を全身で受け留める、その気持ちややりとりに集中しましょう。

信頼を先に得る、そうすれば、話を前向きに聴いてくれるようになり、
結果的に、診療がぐっとスムーズになるからです。

初診時の最初の出会いは、第一印象の0.1秒で決まります。
初対面のときに、席を立って、自己紹介をし、お席にお座りくださいと、患者さんやご家族を席に促し、
そのあとに自分が座るようにしてみましょう。

大事に思ってくれている、丁寧に扱ってもらっているという
嬉しさで心がパッと明るくなるものなのですよ。

第一印象の法則!初対面から好印象になれば、相手の警戒心が一瞬で解ける!

 

情報をどのように伝えるか

ビル~潜在意識

信頼関係の構築を背景に
情報と意思決定を共有する

診断結果をどのように患者に伝えていますか?

同じ内容でも、その伝え方によって、相手の受け取る印象が変わってしまいます。
患者が意見を言えない、言うと否定されることも少なくないです。

わたしが実際に体験した話

息子がインフルエンザだということがわかりました。
医師は、質問をしてきました。

「薬はお出ししますか? インフルエンザは、欧米ではほっておく人が多いんですよ。
もし、薬を使っても、せいぜい 回復すまで 1,2日の違いでしょう。
どうしますか? 日本では、すぐに薬となりがちなのです」

この時、初めて聞いたことだったので、戸惑ってしまいました。
当たり前に、インフルエンザに罹ったら、タミフルなどの薬を処方してもらうものだと
思い込んでいたからです。

そして、その医師は、こう続けました。

「インフルエンザワクチンは、事前に受けていますか?」

「いいえ」

「ワクチンは、絶対にやったほうがいいです」

「うちはワクチン受けません」

すると、食って掛かるような勢いで、説教のような言い方で、
ワクチンがいかに有効か、やらないとどうなるか、など、
まくしたてられました。

それを聞いて心の中で思ったことは、
今、目の前に、40度の熱で座っていられないくらいの息子がいるんです。

その息子の体調はおかまいなしに、説教です。

この医師は、目の前にいる患者を診ているのだろうか?
と思いました。

ワクチンが良いとか悪いとか、あとでもいい話ではないでしょうか。
そして、インフルエンザワクチンについては、ネット上や書籍、動画などでもあるように、
医師が、「ワクチンは無効である」と断言している本や意見があることも事実です。

いろんな考え方があることやどれが真実かは、
その人によって、医師によっても、
考え方や捉え方が違うことでしょう。

ここでお伝えしたいのは、
目の前にいる患者の容体と辛さをしっかり診ることを、
何よりも、
その場で優先させてほしかったという気持ちでした。

素人の私が、
医師とワクチンについて議論するつもりもありません。

これこそが、
コミュニケーション能力であり、
自分の主張やアドバイスの正しさを説得することより、
優先すべきは、「患者」ですよね。

目の前の患者の容態や心に100%寄り添っているのかという
事ができているのかどうかなのです。

 

治療方針を説明し、どのような方法を取り入れるかも、
伝え方のスキルがあるかないかで大きな差となります。

目の前の患者の意向や、性格、今の状況などを汲み取ることが大事ですね。

インフォームド・コンセント(IC)
①医師が決める
②情報と決定を共有
③患者が決める

という3つケースが、考えられることでしょう。

この3つのケースを考えたときに、いかに医師に心を開き、医師から得る情報やアドバイスを信頼できる情報と患者が捉えることが前提になっているともいえます。

信頼関係がなければ、医師からの情報すら信じないかもしれません。

そして、専門の知識がない患者にすべてを選ばせてしまうのも、
患者にとっては不安に残るものでもあります。
どう考えても、情報量や知識量が医療従事者と比べると真実がわからないからです。

アドバイスの仕方も、押し付けに感じないように伝えるには、
「もし、わたしがの家族が同じ状況だったらどうするかを本当のことを話すことが、仕事として、人としての真摯な対応ではないでしょうか。

どの方法をとったとしても、
それだけで100%満足する結果にならないケースがあるからです。

 

話し合いや自分の身内だったらどうするかの視点で、
本当に偽りなく思うことを提案するのがどの世界でも「プロの仕事」と言えるでしょう。

 

質問の仕方で、伝え方を工夫する

診断結果「悪い知らせ」を話さなければならない状況も日々あることでしょう。

本人に伝えるときに、どのくらい病気のことを理解しているのかは人によって差がありますよね。そして説明する場合、どこから話せばよいかを考える必要もあります。

もしほとんど知識も認識も差を感じる場合は、
まずは、少しずつ話すようにしましょう。

話を少ししてみて、反応をうかがいます。

そして、質問をすることで確認ができます。
「ここまでのお話のなかで、いかがですか?」と相手の理解度を確認してみます。

理解度を確認する質問するときのコツは、
患者が「はい、いいえ」と2種類の返答しかできないクローズドクエスチョンではなく、自由に話せる「オープン・クエスチョン」の技法を用いることです。自由に言葉を選んで話せることは、患者の立場だと、心が満足する時間になります。

共感は安心感を与える

患者の立場だと、身体に関することは大変な情報です。かなり心がマイナスに傾くことも少なくありません。生きることに前向きになれないこともでてくるでしょう。

患者に対し、「突然のことで驚かれたでしょう」などと「共感」する言葉を使います。

数秒の沈黙の時間も大事です。相手は、心の中で考えたり、解釈しようとしている時間が必要です。
相手からの言葉を待ち、心を寄り添う〝共感〟の言葉を伝えましょう。

「頑張る」という言葉は、要注意です。「あなたが、頑張って」 というメッセージにとらえられがちだからです。

「医師にとっては、どうしようもなく、患者のあなたの問題」と見捨てられ、距離を置かれたと感じるかもしれません。「一緒にやっていきましょう」と「一緒に」という言葉はとても心強いものです。

非言語のコミュニケーションの力を取り入れる

家庭内別居~花

患者の側に寄り添い、時間を使う

入院している患者の場合はどうでしょうか。ベッドサイドで、医師が歩きながら、巡回にきて、立ったままの位置だと、上から目線になって見下ろしている形になっているのです。

そんなケースでは、ほんの少しの時間を費やしてみてください。
・ベッドの横の椅子に座って、顔をみて話す。
・かがんで、腰を低くし、相手の顔の高さに合わせる

特に不安で気分がふさぎがちのときに、医師が少しの時間でも、
側にいてくれて、向き合う時間は、医師本人が思うよりはるかに効果が高いです。

「また見に来ますね」と笑顔で声を掛けてみてください。その笑顔に不安がスッと軽くなる心理的な作用も引き出せます。

また、あまり行きたくない患者もいますよね。
すると、短時間で済ませたくなったり、行かなくなりがちです。

「扱いにくい性格の患者も、足を運び顔を見に行きましょう。
その誠意が伝わるものです。

 

コミュニケーションスキルは、プロ意識で仕事をするということ

ビル~社長

相手の話をしっかりと向き合って「聴く」に集中することや、沈黙に待てずに話し始めてしまう、
共感する言葉がなかなか出せない、など、

コミュニケーションのスキルは、実践で使えるようになるまでには、人によって相当な時間がかかるかもしれません。しかし、このスキルが身につくと、
今までとは全く別の次元にステージが上がることを体感できるでしょう。

急いで、終わらせようとしていたときに比べると、初対面の好印象を与えることから始まり、
しっかりと相手の話を真摯に聴く、共感する、流れが身につくと、
信頼を得るまでの時間が格段に短くなり、かえって診療の時間が短くなるのに患者の満足度が高くなるという現象が起きます。

技術や専門性で仕事をするプロの職場では、
コミュニケーションのスキルの能力の有無で、大きな結果の差となるのです。

『空気を読まずに0.1秒で好かれる方法。』 朝日新聞出版

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