
目標をはっきり描いているのに、なぜか決断が先送りになる。必要だと分かっている一手が、どうしても打てない。経営者・リーダーの方から、よくうかがうお悩みです。その背景には、潜在意識の中にある「叶うと困る」という判断ルールが隠れていることがあります。この記事では、その仕組みと、外していくための考え方をお伝えします。
望んでいるのに動けないとき、何が起きているのか

目標に向けて努力を重ねても、現実がなかなか変わらない。それが続くと、「本当に効果があるのだろうか」と、くじけそうになります。
私もそうでした。夢の実現をいくらイメージングしても、現実が変わらない。それが続くと、自分が何のためにやっているのかさえ、分からなくなりました。
このとき、多くの方は「やり方」や「努力の量」に原因を探します。けれども、意欲も能力もある方が動けないときは、別のところに理由があることが少なくありません。それが、潜在意識に入っている「叶うと困る」という判断ルールです。
「叶うと困る」という判断ルールとは

潜在意識は、無意識とも呼ばれるように、ふだん意識することのない領域です。そのため、本人が気づかないうちに、判断に大きな影響を与えています。
たとえば、「事業を倍の規模にする」という目標を描いたとします。そのとき、心の奥で次のような声が聞こえないでしょうか。
- 規模が大きくなったら、今より責任も重圧も増えてしまう
- うまくいっても、いつまで続くか分からない
- 成功するには、もっと苦労しなければならないはずだ
こうした声が奥にあると、頭では「達成したい」と思っていても、判断はブレーキの側に傾きます。心の底では、100%そうなりたいとは思っていないことを、潜在意識は正確に受け取っているからです。
潜在意識の基本的な仕組みについては、こちらの記事でもご紹介しています。
潜在意識を簡単に変える3つの方法
「叶うと困る」ルールの実例

体験談1.私の体験――「成功すると困る」
「少し先に良いことが決まって、それを周りに話すと、悪いことが起きる」。これは、私自身が繰り返し経験したことです。
大きな仕事が決まり、うれしくて誰かに話すと、かなりの確率で、その仕事が延期になったり、なくなったりするのです。あるときは、大きな仕事が決まっていて、収入の見通しが立っていました。だからこそ申し込んだ海外旅行の旅先で、電話が鳴りました。その仕事のキャンセルの知らせでした。収入が大きく減ると分かっていたら、旅行には申し込まなかったかもしれません。
喜んで安心した瞬間に、取り上げられる。そんなことを、何度も繰り返していました。
私の潜在意識に入っていたデータは、「かわいそうな私をみんなに見せて、誰かに助けてほしい」というものでした。誰かに助けてほしくて、私の潜在意識が、自動的にみじめな自分を周りに見せていたのです。潜在意識は、それほど巧みに働きます。
出来事を見て、自分の思い込みに気づければよいのですが、このときは、ほかの方から言われて気づきました。説明を受けても、理屈では分かるのに、ベールに包まれているようで、「そうなのかな……言われてみれば、そうかな」と、しっくり来ませんでした。
こうしたデータが入っていると、かわいそうな自分を演出し続けなければならないため、成功や夢の実現から遠ざかってしまいます。
体験談2.「人は裏切る」というルールが、採用の判断を止める
こんな方もいらっしゃいました。潜在意識に「人は信じられない」「人は裏切る」というルールが入っていると、「また騙されているのではないか」という現実が起きやすくなります。周りの人やご家族までが、口をそろえて「あの人に騙されているのでは」と言い始めるのです。
すると、年収を上げるには人を雇う必要があると分かっていても、雇うことにためらいが生まれます。「人は裏切る」からです。その状態で「年収3,000万円になる」とイメージングしても、なかなか現実は動きません。
違和感を抱えたまま人を雇い、事業を広げようとしても、相手の小さな行動に目が向き、「やはり人を雇うと、こういう目に遭う。だから人は信じられない」と言える現実を、自ら作り上げてしまいます。
体験談3.お金が欲しいのに、お金が嫌い

心理のワークを行っていたとき、クライアントさんにこんな方がいました。「お金が欲しい」「もっと売上を伸ばしたい」とおっしゃるのですが、同時に「あの人はお金に走っている。ぼくは、お金じゃないんだ」とも話されるのです。
この一言を聞いただけで、お金に対するイメージがよくないことが分かります。けれども、ご本人にとっては当たり前のことになっているため、気づかないのです。お金の不安が判断に与える影響については、こちらの記事でも詳しくお伝えしています。
お金の不安は、なぜ経営判断を狂わせるのか――「不安」が判断軸になる仕組みと整え方
自分の潜在意識に、どのような邪魔をするデータが入っているのかを確かめ、それを整えながら目標を描いていくと、結果が出るまでが早くなります。
判断ルールが外れると、現実は「ある日、突然」動く

判断を止めていたルールが外れると、それまで動かなかったことが、思いがけない形で動き出すことがあります。私が実践したところでは、変化が現れるまでに3か月ほどかかりました。
本の出版は、最初から数えると3年かかりました。けれども、本気で取り組み始めてからは、3か月で実現しました。
海の見える家を手に入れたときも、そうでした。海沿いの土地が空くまでに時間がかかり、思い続けてから数年が経っていました。本気でイメージングを始めてからは、約3か月です。イメージングをしたあと、そのことを何気なく忘れていたころ、期待もせずに、ふとスマートフォンで検索しました。すると、そこに家が売りに出ていたのです。見に行ってからはスルスルと話が進み、1か月後には、もう購入していました。
夢の実現は、いきなりやって来ます。変化に必要な時間は、人によって、また目標によって異なりますが、判断のブレーキが外れたとき、物事は「突然」動き出すように感じられることが多いのです。変化までの期間については、こちらの記事もご覧ください。
潜在意識の書き換え期間~現実が変化するまでの時間
「叶うと困る」ルールに気づくための問い
まずは、ご自身の目標を一つ思い浮かべて、次の問いを投げかけてみてください。
- その目標が明日叶ったとしたら、困ることは何でしょうか。
- 叶ったあと、失うかもしれないものは何でしょうか。
- その目標について、身近な人から言われた言葉で、心に残っているものはありますか。
答えようとして、少しでも抵抗や違和感が出てきたら、そこに判断を止めているルールが隠れているかもしれません。ご自身で取り組めるワークは、こちらでもご紹介しています。
潜在意識の書き換え、自分でできるワーク!
よくあるご質問
「叶うと困る」ルールは、誰にでもあるものですか。
多かれ少なかれ、どなたにもあります。経験を重ね、慎重に判断できる方ほど、身を守るためのルールを多く持っていることもあります。それ自体が悪いのではなく、今の目標に合わなくなったルールに気づくことが大切です。
自分ひとりで気づくことはできますか。
上の問いのように、ある程度までは、ご自身でも進められます。ただ、私自身の体験のように、判断ルールは本人にとって当たり前になっているため、第三者の視点が入ることで、はじめて見えてくることも少なくありません。
判断軸マネジメントとは、どのような考え方ですか。
判断軸マネジメントは、潜在意識レベルの判断基準である「判断軸」を見つけ、整えていく方法です。脳科学と心理学の知見をもとに、経営者・リーダーの判断の質を高めることを目指しています。
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おわりに
目標に届かないとき、優れた方ほど、まず自分の努力ややり方を見直されます。けれども、もし努力を重ねても動かないものがあるなら、その奥にある「叶うと困る」というルールに目を向けてみる時期なのかもしれません。
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