
1.成功者でも最後に現れる“信頼の欠如”

今日は、少し個人的な話から始めさせてください。
それは、わたしの父の晩年の姿です。
父はビジネスで成功を収め、かつては“飛ぶ鳥を落とす勢い”で働き、
自信に満ちあふれ、どこに行っても中心にいた人でした。
しかし、身体が思うように動かなくなり、お金も自分で下ろせなくなったころ、父の人生に潜んでいた**「誰も信頼できない」**という深い問題が浮き彫りになりました。
病院に運ばれた父は、医師や看護師に対しても、病院の仕組みに対しても不信感を抱えたままでした。手術室に入る廊下で、ストレッチャーの上で恐怖で全身をこわばらせ、怯えた子どものような目をしていました。
かつての堂々とした父の姿はそこにはなく、別人のようでした。
このとき、わたしは痛感しました。
信頼が欠如した人生は、最後にその人の本質を露わにするのだと。
どれだけビジネスで成果を出しても、どれだけ周囲を動かしても、信頼がなければ、人生の最期に頼れるものは何も残らない。父はそのことを、静かに教えてくれました。
2. 信頼できない人が陥る“無限ループ”
信頼欠如は、日常生活やビジネスでも表れます。
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疑いながらも指示を忠実に実行する
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成果が出ても、心はまだ信じていない
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そのため、何度も自分で確かめる
このパターンが負の無限ループを生みます。
信頼できない
↓
自分で確かめる
↓
結果が出る
↓
それでも信頼できない
↓
また自分で確かめる
どれだけ成果を出しても、どれだけ周囲が誠実でも、
心の底では信じられないままです。
そしてこの“不信感”は隠せません。
態度や言葉、間の取り方、ほんの小さな仕草から、周囲はすべて見抜いています。
こういった不信感を持たれていることを感じ取っている周りの人は、そのひとと付き合いたいと思うでしょうか。答えはNOです。だから、またその様子をみて「人は信用できない」という無限ループにはまっているのです。
あなた自身が不信感をもっている
↓
周りの人たちは、それを察知
↓
あなたは、やっぱり人は信用できないと確信をもつ
↓
孤独
父もまた、こうしたループを抱えたまま人生を生きていました。
かつての自信と堂々さは失われ、最後には恐怖と孤独に包まれていました。
成功だけでは、人間としての豊かさは保証されないことを、父の姿が教えてくれました。
3. 左脳の防衛反応と頭脳明晰な人のジレンマ

ここで、少し心理的な解説を加えます。
もしこの文章を読んで、あなたが反発したり、不快に感じたなら、それは自然な反応です。
心理学的には、左脳とエゴの防衛反応です。
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左脳は論理や過去の経験から「自分は正しい」と判断し、心の安全を守ろうとします。
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エゴは、自分の価値や立場が脅かされると、防衛的に反応します。
頭脳明晰で論理的な人ほど、この防衛は強く出やすいです。
なぜなら、左脳の理屈や言い訳で自分を正当化できるからです。
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「自分は正しい」
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「過去に成功してきた経験がある」
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「だからこのやり方が間違いなはずがない」
この思考パターンに縛られると、論理的でありながら感情に振り回されるジレンマに陥ります。
そして、怒りやイライラ、自分は正しいという思いが左脳をぐるぐる回り、負のループが起こります。
つまり、頭脳明晰な人ほど、自分の理屈で自分を縛り、潜在意識のサインに気づきにくくなるのです。
これが、成功者でも孤独や信頼欠如に苦しむ原因の一つです。
4. 信頼を育て、人間性を高める

では、この無限ループや左脳のジレンマからどう抜けるか。
答えはシンプルです。
信頼を育て合える環境に身を置くこと。
自分の判断軸を映し合い、助け合いながら、人としての深みを育てることです。
受講生同士が自然に繋がり合い、
お互いの“自分では気づけない判断軸”を映し合い、
助け合いながら人間性を磨いていく。
そんな場が、私の主宰する 「判断軸マネジメント実践講座」 です。
ここでは、単なるスキルや知識ではなく、
人生の質を左右する信頼の築き方や判断軸の整え方を、
実践を通して体感できます。
信頼を育てること。
人間性を高めること。
それが、ビジネスでも人生でも、
本当の豊かさにつながるのです。
あなたは今、自分の信頼をどのように使っていますか?
頭脳明晰で論理的な自分を盾に、左脳やエゴの防衛に縛られてはいませんか?
周りの人とどんな関係を築きたいですか?
判断軸を整え、信頼を育てることは、
人生の最後まで続く、最高の財産になります。



